2023年6月9日(金)、待望のディズニー実写映画『リトル・マーメイド』が公開されます。
『美女と野獣』『アラジン』など世界中で愛され続けているアニメーションの名作を最新の映像技術で実写化し、次々と大ヒット作品を生み出してきたウォルト・ディズニー・カンパニー。創立100周年を迎える今年、ディズニー・ミュージカルの金字塔『リトル・マーメイド』をついに実写化!より深みを増したキャラクター造形や、本作のために書き下ろされた新たな楽曲も必見です。
公開に先立ち、『リトル・マーメイド』(2D 字幕版上映) のマスコミ向け内覧試写会が開催されました。本記事では、本作のレビューや見どころをはじめ、劇中を彩る音楽、作品の歴史など、多方面から実写版『リトル・マーメイド』の魅力に迫ります。
■STORY■
海の王国を司るトリトン王の末娘で、世界で最も美しい声を持つ人魚姫アリエル。人間の世界に強い憧れを抱いている彼女は、海でこっそり拾い集めた宝物を眺めながら、陸での生活を夢見ていました。
ある日、嵐に巻き込まれた人間のエリック王子を助けたアリエルは、彼に恋をしてしまいます。
ますます人間界への思いを抑えきれなくなったアリエルは、海の魔女アースラと取引を交わすことに。それは、3日間だけ人間の姿になれる代わりに、アリエルの‟声”をアースラに差し出すというものでした…。
「ディズニー・ルネサンス」の幕開けを飾った名作
アンデルセン童話『人魚姫』を原作とする1989年(日本は1991年)公開のアニメーション映画『リトル・マーメイド』。ウォルト・ディズニー・カンパニーが創立100周年を迎える歴史的な年に、なぜ本作が実写化されることとなったのかーー そのひとつを紐解く上で、「ディズニー・ルネサンス」と呼ばれる時代背景を知ると、私たちはより作品に込められた制作者の想いに近づくことができるかもしれません。
■ディズニー・ルネサンス
「ディズニー・ルネサンス」とは、1980年代に長編アニメーション映画部門において低迷期を迎えていたディズニー・アニメーションが、1989年公開の『リトル・マーメイド』を皮切りに 1999年公開の『ターザン』までの多くの作品で高評価・好成績を挙げ、再起を経験した時代を意味します。
アニメーション映画『リトル・マーメイド』の制作当時、映画の中でブロードウェイ・ミュージカルを感じさせるような‟ミュージカル・アニメーション”を実現させることが大きなテーマとなりました。
それに伴い、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』などのブロードウェイ・ミュージカルを手掛けた、アラン・メンケン(作曲家)と故ハワード・アッシュマン(作詞家)が制作チームに加入。映画とともに音楽も世界中で大ヒットし、アカデミー賞では、歌曲賞(「Under the Sea」)と作曲賞の2部門に輝きました。
アニメーション映画『リトル・マーメイド』は、ミュージカル・アニメーションの伝統を復活させた作品であると同時に、ウォルト・ディズニー・カンパニーにとって「ディズニー・ルネサンス」の新時代を切り拓いた、まさに‟記念碑的作品”ともいえる存在なのです。
【実写版】モダンでユニークな海の世界
■ロブ・マーシャル監督が魅せる‟海の世界”
実写映画『リトル・マーメイド』の監督は、多くのミュージカル映画を手掛けてきたロブ・マーシャル。原作やアニメーション映画のストーリーラインをベースに、実写版では ‟新しい世界へのバリアを壊そうとする、一人の女性像”をより力強く情熱的に、そしてモダンに描きあげています。
ロブ・マーシャル監督の作品といえば、『シカゴ』『メリー・ポピンズ リターンズ』などの代表作があげられますが、自身がブロードウェイで振付師として活動してきた経験を活かした演出と映像の世界は、ユニークでテンポ良く、まるでミュージカルそのもの。
神秘的な大海原を舞台にした本作では、アリエルが名曲「Part of Your World」を歌う場面や、アースラが「Poor Unfortunate Souls」をパワフルに歌い上げる場面が特に素晴らしく、それぞれのキャラクターの内から湧き出る感情や、‟水中での暮らし”までもがリアルに伝わってくるほど。
一方、アリエルが恋をする人間のエリック王子は、アニメーション版で描かれた伝統的な王子様から、より冒険心に富んだ深みのあるキャラクター像へと変化しており、新たな一面を見ることができます。彼の愛犬マックスが登場する、船上でのシーンも必見です。
また、アリエルと行動を共にするセバスチャン、フランダー、スカットルといった人気キャラクターも実写版ならではのキュートな姿で出演しています。ファンも多い‟カミスキー”の場面も、もちろん登場。思わずクスッと笑みがこぼれる、私たちを楽しませてくれる名シーンですよね♪
VFX(Visual Effects)による最新の映像技術により、水のゆらめきや波しぶきなど、思わず息を呑むほどの映像美と臨場感を実現した本作。
劇場をあとにした帰り道も、まるで自分自身が水中で泳いでいたかのようなふわふわとした浮遊感がしばらく続き、これまでに体感したことのないユニークな美しい海の世界に胸が熱くなりました。
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