【試写レビュー】映画「エリザベート 1878」イメージを大胆に覆した自由奔放な演出で、40歳になったエリザベートの”1年間”を描く《8月25日(金)より全国順次公開》

目次

エリザベートを取り巻く”キーワード”

■美容とダイエット

身長172cmにして45kg〜50kgの体重、ウエスト50cmほどの体型を維持していたと言われるエリザベート。毎朝毎晩ウエスト・ふくらはぎ・腿のサイズを測り、1日に3度も体重を測定、その数値を記録していました。美容や体型維持のために実践していた過度な食事制限や激しいスポーツは、のちに彼女の心身を蝕むこととなります。

(C) 2022 FILM AG – SAMSA FILM – KOMPLIZEN FILM – KAZAK PRODUCTIONS – ORF FILM/FERNSEH-ABKOMMEN – ZDF/ARTE – ARTE FRANCE CINEMA

■ヘアスタイル

エリザベートが、毎日の身繕いのなかでも特別手間をかけたのが、膝まで届く豊かな髪。
月に1〜2度、侍女全員で大量の生卵とブランデーを混ぜたシャンプーで髪を洗う”洗髪の儀”が行われていたのだそう。

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■乗馬

騎乗狩猟が趣味だったエリザベート。旅行先では乗馬に明け暮れますが、1875年に落馬事故を起こしています。それでも乗馬愛が冷めることはなく、以降も趣味を楽しむ姿が描かれています。

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■スミレの砂糖漬け

劇中に登場する「スミレの砂糖漬け」は、エリザベートが愛したお菓子として知られています。王宮 御用達の洋菓子店「デメル(Demel)」のスミレのアイスクリームも皇妃の大好物だったのだそう。
ウィーンでは、現在でもスミレを使用したスイーツが多くの人々に親しまれているのだとか。一度食べてみたいですね…♡

【音楽】監督が惚れ込んだ楽曲『She Was』

クロイツァー監督は、本作のサウンドトラックと言える位置付けに、フランスの人気シンガー・カミーユの『She Was』を起用しています。この曲は、カミーユのアルバム『Ilo veyou』(2011年)に収録されており、監督が自ら選曲したもの。シンプルながらも心に深く突き刺さる不思議なメロディと、曲が進むにつれて力強さが増す歌声に引き込まれていきます。

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当初は、カミーユに映画のための新曲を依頼する予定でしたが、彼女の過去の作品に触れ、『She Was』と出会った瞬間に “新曲は必要ない。”と、確信を持ったのだそう。
歌詞には、”She was a swan”、”She was a toad”といった複数の動物の名前が出てきますが、劇中の《衣装デザイン》や当時の女性たちの《髪型》がまるで”動物のように見える”瞬間があり、その完璧で幸運な共通点から楽曲の起用が実現したと明らかにしています。

他にもソープ&スキンの楽曲や、ザ・ローリング・ストーンズの『As Tears Go By』のハープ版カバーなどを所々で起用。特に女性シンガーたちの歌声は、エリザベートの内面を代弁するような響きに満ちており、一層切ない感情をもたらしています。

「エリザベート 1878」作品詳細

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2023年8月25日(金)より
全国順次ロードショー

脚本・監督:マリー・クロイツァー
出演:ヴィッキー・クリープス、フロリアン・タイヒトマイスター、カタリーナ・ローレンツ ほか
配給:トランスフォーマー、ミモザフィルムズ

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参考文献:”Marie Kreutzer on Vicky Krieps, Camille, and the look of Corsage” Eye For Film (https://www.eyeforfilm.co.uk/feature/2022-12-14-marie-kreutzer-in-conversation-on-corsage-vicky-krieps-as-sisi-singersongwriter-camille-and-the-look-of-the-film-feature-story-by-anne-katrin-titze).

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この記事を書いた人

【取材、撮影、記事作成など、Webサイト『映画とわたし』に関わる全てのことを担当】

兵庫県神戸市出身、関西大学卒業。大学在学中にシンガーとして音楽活動を開始。CDリリースや数々のアーティストのバックコーラスを経て、ディズニー映画『美女と野獣』の日本語版デュエットソングDAMガイドボーカル(第一興商)を務める。卒業後は、関西のマスメディアで業務に携わり、2019年には神戸のラジオブースでパーソナリティとして活動。
2022年には、阪神百貨店で開催されたバレンタイン催事のイメージソング『Strawberry』を制作。Webメディア『映画とわたし』の運営を中心に、記事掲載や写真・動画撮影、音楽を通してモノやコトの魅力を発信中。

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