ミュージカル映画の歴史に、新たな1ページが刻まれます。2003年の初演以来、不朽のミュージカルとして世界中の人々に愛され続けている「ウィキッド」が、ついに舞台からスクリーンへ。映画『ウィキッド ふたりの魔女』が 2025年3月7日(金) より全国ロードショーとなります。
本作のメガホンを握るのは、『クレイジー・ リッチ ! 』や『イン・ザ・ハイツ』で脚光を浴びたジョン・M・チュウ監督。映画版は2作品で描かれ、本作に次いで2作目の『Wicked Part Two』(原題) は 2025年11月21日に世界初公開が予定されています。 (※1)
(※1)日本公開日は未定
後の‟悪い魔女”と“善い魔女”の過去をふたりの視点から描いた物語「ウィキッド」。感動と興奮に満ちたエンターテイメント超大作でありながら、物事を多角的に見ることの大切さを伝え、あらゆる人々の心に深く響く作品に仕上がっています。
公開に先立ち、『ウィキッド ふたりの魔女』(2D 字幕版)の試写会が開催されました。本記事では、試写レビューとともに、さまざまな観点から作品の見どころやポイントをたっぷりとお届けします。
【背景】『オズの魔法使い』から生まれた物語
ライマン・フランク・ボームが1900年に発表した児童小説『オズの魔法使い』。オズの国に迷い込んだ少女ドロシーと愛犬トトが故郷のカンザスに戻るため、“善い魔女”の助言のもと、旅の途中で出会った仲間たちとともにエメラルドシティを目指し、‟悪い魔女”を倒す物語です。1939年に公開された映画『オズの魔法使』は、映画史に残る名作として広く知られています。
そんな『オズの魔法使い』に登場する魔女たちの知られざる過去に遡り、なぜ彼女たちが‟悪い魔女”、 “善い魔女”と呼ばれるに至ったかを描いた作品が、1995年に刊行されたグレゴリー・マグワイアの『ウィキッド 誰も知らない、もう一つのオズの物語』。小説はまたたく間にベストセラーを記録し、さらにミュージカル「ウィキッド」は世界中で大ヒット。『オズの魔法使い』と同様に広く知られる存在となり、私たちの夢を、そして他者や世界への見方を形作ってきました。
より深く楽しめる!
『ウィキッド ふたりの魔女』では、『オズの魔法使い』や 映画『オズの魔法使』とリンクするような、心がワクワクする場面がいくつも登場!その一部をご紹介します。
『オズの魔法使い』でドロシーたちが歩く、エメラルドシティへと続く黄色いレンガの道 (Yellow Brick Road)。本作ではその誕生秘話が明らかに。さらに、劇中のどこかでドロシーたちの姿を見ることができるかも!?
『オズの魔法使』でドロシーが歌う劇中歌「虹の彼方に」。本作でも、‟虹”や‟色”の存在は大きく、エメラルドシティのテーマ・カラーでもあるグリーンやグリンダのテーマ・カラーでもあるピンクを中心に、オレンジ、レッド、イエロー、ブルー、パープルといった色合いすべてに大切な意味が込められています。
エルファバ(のちの‟悪い魔女”)が歌う劇中歌「Defying Gravity」(原題)。楽曲のなかに登場する印象的なメロディの一部をよく聞いてみると、「虹の彼方に」の最初の7つの音が使われていますよ♪
【ふたりの魔女】エルファバとグリンダ
『ウィキッド ふたりの魔女』は、エルファバ(のちの“悪い魔女”)とグリンダ(のちの“善い魔女”)というふたりの女性が思わぬ形で育む友情が核となり、物語にまぶしさと切なさを与えます。
誰よりも優しく聡明でありながら家族や周囲から疎まれ孤独なエルファバと、誰よりも愛され特別であることを望むみんなの人気者グリンダ。見た目も性格も、そして魔法の才能もまるで異なるふたりは、反発しあいながらも、お互いの本当の姿を知るにつれてかけがえのない友情を築いていくのです。
マンチキン国の総督の長女。生まれつき緑色の肌と不思議な力を持ち周囲から疎まれていたが、妹のネッサローズと大好きなばあやのダルシーベアだけは別。シズ大学で出会ったグリンダと親友になる。
シンシア・エリヴォのここがすごい!
エルファバが幼い頃から強いられてきた重い痛み、そして心からの願いが、エリヴォの鍛え抜かれた実力とこだわりのタッチによって溢れんばかりに伝わってきます。彼女のまっすぐな眼差しとパンチのある歌声、みなぎるパワーは、エルファバそのもの。
エルファバの衣装は、はぐれ者からパワフルで物怖じしない女性へと変貌するまでの旅路を反映。大自然とのつながりが深く、オズの動物たちを大切にする彼女らしさを強調したデザインやパターンに注目です。さらに、エルファバのヘアメイクは作品自体がそれなくしては成り立たないほど重要な要素。こだわりの詰まった緑の肌、ヘア、メイク、ネイルは、日に平均して約2時間15分かけて施していたのだそう。
アッパー・アップランド出身のお嬢様で、エルファバのルームメイト。暴走気味で、ファンと靴に目がなく、一見すると自分に酔った女性のようにも見えるが、ピンクに染まった透明感の下には他者の気持ちを理解する能力や、大切なものへの深い愛情と義理堅さが隠れている。
アリアナ・グランデのここがすごい!
若者を中心にポップアイコンとして愛され、日本でも大人気の女性シンガーであるグランデ。グリンダを演じるにあたり、初心にかえってクラシックやオペラの歌い方を鍛え直したのだそう。彼女自身、幼い頃から憧れ続けてきた「ウィキッド」の世界。まさに“これぞグリンダだ”と皆を唸らせる、究極の表現力で私たちを楽しませてくれます!
グリンダの衣装は、ピンクをテーマ・カラーに、シャボン玉やオーロラを思わせる色味で“善”のイメージを浮かび上がらせています。元気で軽やかな彼女をそのまま反映したかのようなキュートな衣装の数々に思わずうっとり。さらに、“永遠のエレガンス”と謳われたグレース・ケリーからヒントを得たルックと、ゴージャス且つエレガントなヘアメイクにも注目です。
【キャラクター】知れば知るほど奥深い!
ウィンキー王国からやって来たハンサムな王子。
天候を操ることができる、シズ大学の魔法学部長。
オズの魔法使い
最も偉大な存在
オズの国を統治する魔法使い。
ボック
グリンダに惹かれる青年
マンチキン国出身の赤毛の青年。
ネッサローズ
エルファバの妹
脚が不自由で、車椅子生活を送る。
シェンシェン
グリンダの友人
勝手にグリンダのお世話係に名乗りをあげる女子。
ファニー
陽気でゴシップ好き
シェンシェンと行動を共にする、派手な学生。
ディラモンド教授
オズの行く末を案じる
歴史学を教える、心優しきヤギの教授。
【音楽】人気楽曲を使用した華麗なミュージカルシーン
舞台版で愛され続けてきた歌曲の数々が、ついにスクリーンへ。作詞作曲は、グラミ一賞やアカデミー賞®︎に輝く伝説の音楽家スティーヴン・シュワルツが担当。人気ミュージカルの魅力とサウンドが、スクリーンを華やかに彩ります!
これまで多くのファンを魅了してきた、楽曲の数々。なかでも本記事では、グリンダが活き活きと歌う「Popular」(原題)と、エルファバが力強く歌い上げる「Defying Gravity」(原題)に注目。
エルファバを大変身させようとグリンダが歌う楽曲は、まるで泡のように軽快なリズムが楽しめる一曲。印象的なフレーズの歌い方は“ヨーデル”を意識していて、さらに楽曲誕生の背景にはシュワルツの学生時代の思い出も詰まっているのだそう!この楽曲が披露されるシーンで、エルファバはグリンダにはじめて自分の弱さを見せ、グリンダははじめて本当の友情を知るのです。
第1幕を飾るフィナーレの曲であり、「ウィキッド」で最も印象的な曲の一つ。エルファバは自分の力を認めて、オズの魔法使いの呪縛を退ける瞬間にこの曲を歌います。地面から湧き上がるような力強さ、彼女に宿るパワー、そして最後の一音には「ウィキッド」の枠を超えてエルファバの戦いの叫びがスクリーン全体に響き渡ります。オズの国の上空を飛びまわる彼女の姿を見て、観客は爽快感と“自由”を感じることができるのです。
歌唱シーンは、セットでの生歌パフォーマンス
本作では、撮影現場で演者らが舞台同様に心から歌えるような時間と空間を確保。なんと、できる限りそのままセットで歌を披露できるように撮影が行われました。演技の流れのまま歌にシフトするため、より感情がストレートに伝わり、ライブ感が味わえるー。最高のチームがおくる極上の音楽に、胸が震えます。
【最後に】映画だからこそ、実現できたこと
2003年、イディナ・メンゼルとクリスティン・ チェノウェスが主演をつとめ初上演されたブロードウェイ・ミュージカル「ウィキッド」。その後も、約20年に渡り世界中のさまざまなキャストがエルファバとグリンダを見事に演じ、劇場を満杯にし続けてきました。
「ウィキッド」の物語をスクリーンで見るということは、ミュージカル映画の歴史に新たな1ページが刻まれるということ。マンチキン国、シズ大学、寮や教室、不思議なエメラルドシティ。作品の魅力は数えきれないほどありますが、映像だからこそ実現できた“広くて深い世界”は、私たちを音楽と魔法が彩る唯一無二の空間へと連れて行ってくれるのです。
文/ Maika (Webサイト『映画とわたし』)
『ウィキッド ふたりの魔女』
<STORY>
魔法と幻想の国オズにある<シズ大学>で出会ったふたり― 誰よりも優しく聡明でありながら家族や周囲から疎まれ孤独なエルファバと、誰よりも愛され特別であることを望むみんなの人気者グリンダは、大学の寮で偶然ルームメイトに。見た目も性格も、そして魔法の才能もまるで異なるふたりは反発し合うが、互いの本当の姿を知っていくにつれかけがえのない友情を築いていく。ある日、誰もが憧れる偉大なオズの魔法使いに特別な力を見出されたエルファバは、グリンダとともに彼が司るエメラルドシティへ旅立ち、そこでオズに隠され続けていた“ある秘密”を知る。それは、世界を、そしてふたりの運命を永遠に変えてしまうものだった…。
3月7日(金)より、全国ロードショー!
出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ、ジョナサン・ベイリー、イーサン・スレイター、ボーウェン・ヤン、ピーター・
ディンクレイジwithミシェル・ヨーandジェフ・ゴールドブラム
監督:ジョン・M・チュウ(『クレイジー・リッチ!』『イン・ザ・ハイツ』)
製作:マーク・プラット(『ラ・ラ・ランド』『リトル・マーメイド』)、デヴィッド・ストーン(「ウィキッド」)
脚本:ウィニー・ホルツマン
原作:ミュージカル劇「ウィキッド」/作詞・作曲:スティーヴン・シュワルツ
日本語吹替版キャスト:高畑充希、清水美依紗ほか
日本語吹替版スタッフ:三間雅文(台詞演出)、蔦谷好位置(音楽プロデューサー)、高城奈月子(歌唱指導)、吉田華奈(歌唱指導)
配給:東宝東和
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