【内覧会レポート】特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」名作映画に影響を与えた絵画など 恐竜の“パレオアート”が大集結!見どころや限定グッズ情報も / 兵庫県立美術館

目次

あの名作映画に影響を与えた絵画が登場!

兵庫県立美術館 特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」(2023年3月4日-5月14日)の展示会場にて
チャールズ・R・ナイト《白亜紀―モンタナ》1928年
油彩・カンヴァス 38.1×96.5cm プリンストン大学
Trustees of Princeton University / Image courtesy of the Princeton University Art Museum

チャールズ・R・ナイトは、19世紀末から20世紀前半にアメリカで活躍したパレオアートの歴史上最大の巨匠です。もともと野生動物画家だったナイトは、生物学的知見に基づき、恐竜をいきいきとした姿で描き現代に蘇らせました。

彼の作品は、アメリカ自然史博物館やフィールド博物館で使用されたほか、映画「ロスト・ワールド」(1925年)や「キング・コング」(1933年)などにも大きな影響を与えました。ティラノサウルスとトリケラトプスの対決を描いた≪白亜紀―モンタナ≫や、恐竜を躍動感あふれる姿でとらえた ≪ドリプトサウルス(飛び跳ねるラエラプス)≫は恐竜画における記念碑的イメージです。

兵庫県立美術館 特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」(2023年3月4日-5月14日)の展示会場にて
チャールズ・R・ナイト《ドリプトサウルス(飛び跳ねるラエラプス)》1897年
グアッシュ・厚紙 40x58cm アメリカ自然史博物館、ニューヨーク
Image #100205624, American Museum of Natural History Library

一方、ナイトより少し後の世代の画家ズデニェク・ブリアンは、20世紀中盤から後半にかけてチェコスロバキア(現チェコ共和国)で活動しました。当時の化石発掘の中心地であったアメリカから遠く離れた東欧圏は、直接化石を研究できる機会が限られていました。その環境にありながら、ヨーロッパ美術のリアリズムの伝統を踏まえた彼の作品は、強い説得力を持つものとして国際的に高く評価されています。

本展のメインビジュアルにも起用されている《イグアノドン・ベルニサルテンシス》をはじめ、恐竜イメージの普及に大きな影響を与えた作品の数々をお楽しみください。

兵庫県立美術館 特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」(2023年3月4日-5月14日)の展示会場にて
ズデニェク・ブリアン《イグアノドン・ベルニサルテンシス》1950年
油彩・カンヴァス 60x48cm モラヴィア博物館、ブルノ
© Jiří Hochman – www.zdenekburian.com/ and Fornuft s.r.o. / Moravské zemské muzeum, Brno

書籍、玩具からアートまで《日本に溢れた恐竜たち

兵庫県立美術館 特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」(2023年3月4日-5月14日)の展示会場にて

19世紀に欧米で成立した恐竜のイメージは、世紀末には日本にも移入されました。

古生物学者・横山又次郎によって「恐竜」という訳語が作られて以来、科学雑誌や啓蒙書、子供向けの漫画や絵物語など、恐竜を主題にした出版物が広く刊行されることになりました。

これらと並行して、恐竜の姿を模した玩具模型が多数制作され、今日では恐竜人気を支える中心的アイテムのひとつとなっています。

兵庫県立美術館 特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」(2023年3月4日-5月14日)の展示会場にて

本展では、国内有数の恐竜アイテムの収集家である田村博氏のコレクションによって、明治から昭和にかけて我が国の文化史に登場する様々な恐竜を紹介。恐竜をテーマにした数々の漫画を手掛けた所十三の代表作『DINO2(ディノ・ディノ)』の貴重な原画も展示されています。

兵庫県立美術館 特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」(2023年3月4日-5月14日)の展示会場にて

恐竜はまた、一般的な美術、いわゆるファインアートの領域でもしばしば象徴的なモチーフとして登場します。美術における恐竜のシンボリズムについて、福沢一郎や立石紘一など、いくつかの作例で紹介しています。

兵庫県立美術館 特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」(2023年3月4日-5月14日)の展示会場にて
1 2 3

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

【取材、撮影、記事作成など、Webサイト『映画とわたし』に関わる全てのことを担当】

兵庫県神戸市出身、関西大学卒業。大学在学中にシンガーとして音楽活動を開始。CDリリースや数々のアーティストのバックコーラスを経て、ディズニー映画『美女と野獣』の日本語版デュエットソングDAMガイドボーカル(第一興商)を務める。卒業後は、関西のマスメディアで業務に携わり、2019年には神戸のラジオブースでパーソナリティとして活動。
2022年には、阪神百貨店で開催されたバレンタイン催事のイメージソング『Strawberry』を制作。Webメディア『映画とわたし』の運営を中心に、記事掲載や写真・動画撮影、音楽を通してモノやコトの魅力を発信中。

目次