あの名作映画に影響を与えた絵画が登場!
チャールズ・R・ナイトは、19世紀末から20世紀前半にアメリカで活躍したパレオアートの歴史上最大の巨匠です。もともと野生動物画家だったナイトは、生物学的知見に基づき、恐竜をいきいきとした姿で描き現代に蘇らせました。
彼の作品は、アメリカ自然史博物館やフィールド博物館で使用されたほか、映画「ロスト・ワールド」(1925年)や「キング・コング」(1933年)などにも大きな影響を与えました。ティラノサウルスとトリケラトプスの対決を描いた≪白亜紀―モンタナ≫や、恐竜を躍動感あふれる姿でとらえた ≪ドリプトサウルス(飛び跳ねるラエラプス)≫は恐竜画における記念碑的イメージです。
一方、ナイトより少し後の世代の画家ズデニェク・ブリアンは、20世紀中盤から後半にかけてチェコスロバキア(現チェコ共和国)で活動しました。当時の化石発掘の中心地であったアメリカから遠く離れた東欧圏は、直接化石を研究できる機会が限られていました。その環境にありながら、ヨーロッパ美術のリアリズムの伝統を踏まえた彼の作品は、強い説得力を持つものとして国際的に高く評価されています。
本展のメインビジュアルにも起用されている《イグアノドン・ベルニサルテンシス》をはじめ、恐竜イメージの普及に大きな影響を与えた作品の数々をお楽しみください。
書籍、玩具からアートまで《日本に溢れた恐竜たち》
19世紀に欧米で成立した恐竜のイメージは、世紀末には日本にも移入されました。
古生物学者・横山又次郎によって「恐竜」という訳語が作られて以来、科学雑誌や啓蒙書、子供向けの漫画や絵物語など、恐竜を主題にした出版物が広く刊行されることになりました。
これらと並行して、恐竜の姿を模した玩具模型が多数制作され、今日では恐竜人気を支える中心的アイテムのひとつとなっています。
本展では、国内有数の恐竜アイテムの収集家である田村博氏のコレクションによって、明治から昭和にかけて我が国の文化史に登場する様々な恐竜を紹介。恐竜をテーマにした数々の漫画を手掛けた所十三の代表作『DINO2(ディノ・ディノ)』の貴重な原画も展示されています。
恐竜はまた、一般的な美術、いわゆるファインアートの領域でもしばしば象徴的なモチーフとして登場します。美術における恐竜のシンボリズムについて、福沢一郎や立石紘一など、いくつかの作例で紹介しています。