2025年10月25日(土)~ 2026年1月12日(月・祝)の期間、大阪市立美術館(大阪市天王寺区)にて、大阪・関西万博のイタリア館にて展示された作品の一部を出展する特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」が開催されます。
大阪・関西万博は、10月13日(月・祝)に半年間の会期を終えて閉幕しました。なかでもイタリア館では「芸術が生命を再生する」をテーマに、古代から現代まで幅広い作品が披露され、多くの来場者を魅了しました。
本展は、日本とイタリアの国交160周年を記念し、大阪・関西万博のレガシーを文化的に継承することを目的に開催。イタリア館で人気を博した《ファルネーゼのアトラス》を筆頭に、ルネサンス期を代表する万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿『アトランティコ手稿』、巨匠ラファエロの師ペルジーノの傑作《正義の旗》を展示します。
出展作品について

古代彫刻の最高傑作と称される《ファルネーゼのアトラス》は、重い天球を抱えるギリシア神話の巨神アトラスを象り、その天球に精緻に刻まれた星座や黄道十二宮とともに、古代彫刻の真髄を伝える極めて希少な作品です。
天球儀は、宇宙を外側から見た視点で作られているため、描かれた宇宙は地上から見る姿とは裏返しになっています。また、天球儀の表面には古代ギリシアの星座絵が浮き彫りで描かれており、私たちにも馴染み深い黄道十二星座が左右反転した姿になっているのも鑑賞ポイントの一つです。
イタリア館と同様に、360度さまざまな角度から楽しめる展示方法をとっており、大阪・関西万博での感動と興奮が再び蘇ります。一度見たら忘れられないほど印象的な表情や、肉体の圧倒的なリアルさを間近で鑑賞できる貴重な機会です。


ルネサンス時代に活躍した「万能の天才」と称されるレオナルド・ダ・ヴィンチの《アトランティコ手稿》は、現存する手稿のなかで最も大規模なもの。1119枚にも及ぶ紙葉には、数学、天文学、植物学、動物学、さらには土木工学や軍事技術にまで及ぶ幅広い知的探究を収め、レオナルドの高い知性を余すところなく示しています。
本展では、水の都・大阪にちなみ、水に関連する作品を厳選して展示。イタリア館に展示されていた作品とは異なり、《水を汲み上げ、ネジを切る装置》と《巻き上げ機と油圧ポンプ》の2点が日本初公開となります。

『アトランティコ手稿』第156紙葉 表
《水を汲み上げ、ネジを切る装置》

『アトランティコ手稿』第1112紙葉 表
《巻き上げ機と油圧ポンプ》

《正義の旗―聖フランチェスコ、シエナの 聖ベルナルディーノ、祈る正義兄弟会の 会員たちのいる聖母子と天使》
レオナルド・ダ・ヴィンチと並び称されるラファエロ・サンツィオ。その師であり大きな影響を与えた巨匠ペルジーノの代表作《正義の旗》は、ペルージャのサン・ベルナルディーノ兄弟会のために描かれました。兄弟会とは、地域や同業者同士の助け合いを目的に信仰心を共有する人々が集う宗教団体で、宗教行列の際には旗(ゴンファローネ)を掲げて祈りを捧げました。
深い信仰心と精神性、また当時のペルージャの街並みが細かな部分まで見事に再現されており、神への祈りが現実の人間社会のなかに息づいていたことを物語る貴重な作品です。
伊東マンショ(本名:伊東祐益)は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍したキリシタンです。イタリア館では“未知への挑戦と異文化との出会い”を象徴する存在として、ヴェネツィアの巨匠 ドメニコ・ティントレットによるオリジナル作品とともにその足跡が紹介されました。本展では、伊東マンショが着用した服と小物を忠実に再現した復元衣装を展示。会期途中からは『伊東マンショの肖像』の複製画の展示も予定されています。
ほかにも、会場では《レオナルドの馬》に着想を得たファンタジー短編アニメーション『ダ・ヴィンチの馬』の上映(上映時間:1分51秒)やパネル展示などが楽しめます。

開会式の様子

大阪市立美術館の中央ホール付近には、本展の開催を記念した「顔出しパネル」が設置されており、自由に写真撮影を楽しむことができます。いざ挑戦してみると、想像以上に首を傾けることに…!?まるで《ファルネーゼのアトラス》の気分になれるような、ここだけの特別なフォトスポットをお見逃しなく!
本展は、多くの人々に惜しまれながら閉幕した大阪・関西万博のレガシーを文化的に継承し、古代ギリシアの精神からルネサンスの創造力へと連なる人類の美と叡智の系譜を一堂に体感できる、極めて貴重な機会です。歴史を超えて、現在も輝き続ける傑作の数々をお楽しみください。
取材・撮影・文/ Maika (『映画とわたし』)
開催概要
日伊国交160周年記念 大阪・関西万博開催記念
特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」
本展は、オンラインチケット(日時指定予約)の全日程分が完売したため、美術館窓口を含めチケット販売を中止しています。今後の対応については、大阪市立美術館の公式ホームページおよび展覧会公式SNSにて随時更新されますのでご確認ください。
| 会期 | 2025年10月25日(土)~2026年1月12日(月・祝) 【休館日】月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日休館)、12月29日~1月2日 ※都合により、臨時で休館となる場合があります。 |
|---|---|
| 開館時間 | 午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで) |
| 会 場 | 大阪市立美術館 大阪市天王寺区茶臼山町1-82(天王寺公園内) |
※本記事に掲載している内容は、予告なく変更となる場合があります。

