【試写レビュー】映画「エリザベート 1878」イメージを大胆に覆した自由奔放な演出で、40歳になったエリザベートの”1年間”を描く《8月25日(金)より全国順次公開》

2023年8月25日(金)より、ヨーロッパ宮廷一の美貌と称された 19世紀オーストリアの皇妃エリザベートの”40歳”の1年間にスポットを当てた映画「エリザベート 1878」が全国で順次公開されます。

若さや美しさという基準のみで存在価値を測られてきたエリザベートの知られざる”素顔”を大胆な解釈で描く本作。
第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でワールドプレミアを迎え、主演 ヴィッキー・クリープスが最優秀演技賞を受賞。ロンドン映画祭では最優秀作品賞に輝き、第95回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト(オーストリア代表)にも選出されました。

(C) 2022 FILM AG – SAMSA FILM – KOMPLIZEN FILM – KAZAK PRODUCTIONS – ORF FILM/FERNSEH-ABKOMMEN – ZDF/ARTE – ARTE FRANCE CINEMA

公開に先立ち、「エリザベート 1878」を試写会で拝見しました。本記事では、本作のレビューや見どころをはじめ、映画を見る前に押さえておきたい”キーワード”、劇中の音楽など、多方面から作品の魅力に迫ります。

■STORY■

1877年のクリスマスイブに40歳の誕生日を迎えたエリザベート。彼女は、世間のイメージを維持するために奮闘を続けながらも、心の底では「40歳になると、容姿が衰え、存在が薄れ、暗い雲のようになる」と呟いていた。若き日のような刺激と自由を求める彼女は、イングランドやバイエルンを旅してかつての恋人や旧友を訪ねる中で、自分らしさを取り戻すために、とある計画を思いつくのであった…。

自由を渇望した、エリザベートの知られざる”心の軌跡”

「シシィ」の愛称で知られる、19世紀オーストリアの皇妃エリザベート。映画界では、ロミー・シュナイダーが若き日のエリザベートに扮した50年代製作の3部作が大ヒットを記録。日本でも1996年以来、宝塚歌劇団、東宝ミュージカルの人気演目の主人公として広く親しまれてきました。2022年には、ドイツ発のNetflixドラマシリーズ『皇妃エリザベート』も好評を博しています。

本作は《40歳になったエリザベートの1年間》にスポットを当て、これまであまり描かれることのなかった後年の彼女の”素顔”に迫る伝記映画。伝説的皇妃のイメージを大胆に覆した自由奔放な演出は、各界著名人からも賞賛の声が寄せられるほど。

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エリザベートは、1837年12月24日、ヴィッテルスバッハ家傍系のバイエルン公マクシミリアンと王女ルドヴィカの次女として誕生しました。父の教育方針もあり、夏になるとバイエルンのポッセンホーフェンで自然に囲まれながら”自由奔放”に暮らしていました。

16歳で、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められ結婚。オーストリア皇后として一気に頂点へ上り詰めた彼女でしたが、幼少期からの”自由奔放”な性格はヨーロッパ随一の伝統と格式を誇るハプスブルク王朝のウィーン宮廷での生活と合わず、次第にウィーンを離れて流浪の旅を繰り返すようになります。

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映画は、厳格で形式的な公務にうんざりしながらも、世間のイメージを維持するために《確固たる意思》を持ち奮闘するエリザベートの姿から始まります。
コルセットをできるだけきつく締め上げて、過度のダイエットを続けながら乗馬やフェンシングといったスポーツで体重維持に努めるさまなど、それらはまるでドキュメンタリーを見ているような錯覚を覚えるリアルさです。

鮮やかな衣装に身を包み、華やかなオーラを発して羨望の的としてもてはやされた人物が、後年いかにして苦しむことになったのか…。本作で描かれるエリザベートの葛藤には、現代にも通じる普遍性があり、今日に生きる女性たちの共感を呼び起こします。

【NEXT】エリザベートを取り巻く”キーワード” ほか ▶︎▶︎▶︎

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この記事を書いた人

【取材、撮影、記事作成など、Webサイト『映画とわたし』に関わる全てのことを担当】

兵庫県神戸市出身、関西大学卒業。大学在学中にシンガーとして音楽活動を開始。CDリリースや数々のアーティストのバックコーラスを経て、ディズニー映画『美女と野獣』の日本語版デュエットソングDAMガイドボーカル(第一興商)を務める。卒業後は、関西のマスメディアで業務に携わり、2019年には神戸のラジオブースでパーソナリティとして活動。
2022年には、阪神百貨店で開催されたバレンタイン催事のイメージソング『Strawberry』を制作。Webメディア『映画とわたし』の運営を中心に、記事掲載や写真・動画撮影、音楽を通してモノやコトの魅力を発信中。