【取材レポ】篠原ともえが“正倉院宝物”から着想を得たドレスを制作「正倉院 THE SHOW」大阪歴史博物館にて開催

メディアセッションに出席した、篠原ともえさん
撮影:『映画とわたし』編集部

2025年6月14日(土)~ 8月24日(日)の期間、大阪歴史博物館にて 特別展「正倉院 THE SHOW -感じる。いま、ここにある奇跡-」が開催されています。本展は、9000件もの宝物を1300年近く地上で守り伝えた”奇跡の宝庫”、正倉院の物語を歩く展覧会。宮内庁正倉院事務所全面監修のもと「愛」「美」「紡ぐ」をテーマに、最新のデジタル手法を駆使して宝物の背景にあるさまざまなストーリーを紐解きます。

6月17日(火)、同会場にてメディアセッションが行われ、本展コラボレーションアーティストの一人、篠原ともえさんが登壇しました。本記事では、その模様の一部をオリジナルレポートでお届けします。

正倉院宝物「漆胡瓶」に着想を得て、伝統と現代とを融合させたドレスを制作

篠原ともえさん

本展では、幅広いジャンルで活躍する現代アーティストが“正倉院宝物”にインスピレーションを受けて制作した新作が展示されています。コラボレーションアーティストの一人である篠原ともえさんは、鳥の頭を象った蓋をもつペルシア風の水差し「漆胡瓶」から着想を得たドレスを制作。「漆胡瓶」の圧倒的な存在感に魅了されたという篠原さんは「宝物の資料と対峙するなかで、この独特な宝物の存在感に魅了されたんです。『漆胡瓶』のシルエット、オリエンタルな魅力をカタチにしたいというのが最初のアイデアの着想でした。」と熱弁しました。

「漆胡瓶」には、東アジア独特の漆芸が用いられ、銀の薄板で動植物、昆虫などの文様が生き生きと繊細に刻まれています。篠原さんは「植物だったり、動物だったり、自然や生命の賛歌が刻まれていたんです。なかでも、とっても興味深かったのが、動物そして昆虫までもが“オスとメスのつがい”で刻まれていたということです。私はそこに、聖武天皇と光明皇后の“愛の絆”を感じることができて、とても嬉しかったです。」と目を輝かせながらコメントしました。

篠原ともえさんが制作したドレスの展示

さらに、印象的な“ドレスの形”について「1300年の物語の証をなるべくそのまま かたちづくりたいというところに、特にこだわりました。忠実な3Dデータを元に、人尺へと割り出して構築しました。実物と比べて、およそ3.5倍となっています。」と説明。さらに、サイズを大きくすることでより細かく、近くで文様が楽しめるという魅力に触れ「ぜひ覗き込んでほしいです!この宝物の慈しみの物語を楽しんでいただきたいと思います。」と笑顔で話しました。

高精細な3Dデジタルデータで、宝物の細部や質感をリアルに紹介

本展では、毎年秋に開催される「正倉院展」とは異なる新しいアプローチで、最新のデジタル技術を駆使した「再現模造」や映像などを通して、“感じる” “楽しむ”展示イベントです。宝物の価値をより深く味わい、皇室のかけがえのなさや伝来を支えた人々の想いなどに触れることのできる貴重な機会として、注目を集めています。

大型スクリーンで
臨場感あふれる映像を上映
スクリーンに映し出される「ストーリー映像」の一部
スクリーンに映し出される「デジタル宝物映像」の一部

宝物の実物を360度からスキャンして取得された高精細な3Dデジタルデータに演出を施した映像を 高さ4m、幅約20mの巨大スクリーンいっぱいに投影。肉眼ではとらえにくい宝物の細部や質感をリアルに感じることができます。

さらに、高度な技術を用いて作られた「再現模造」を 映像・音楽・照明と組み合わせて展示することで、新たな鑑賞体験を実現します。

映像・音楽・照明と組み合わせて「再現模造」を展示

【注目】天下人を魅了した正倉院宝物の香りを展示会場で初公開

織田信長が熱望した香木「蘭奢待(らんじゃたい)」を科学的に分析して香りを忠実に再現

会場では「蘭奢待」のレプリカを展示

謎に包まれてきた「蘭奢待」の香り。正倉院事務所では、2024年度から高砂香料工業株式会社の協力のもと、今でもかすかに香りがある「蘭奢待」の脱落片(だつらくへん)を利用して、成分分析などの詳しい調査を実施。科学調査の結果と、香りを嗅いだ調香師の研ぎ澄まされた感覚によって、現代にその香りがよみがえりました。

会場では、ガラスドームの中に香りを閉じ込めて展示

会場では、ガラスドームの中に閉じ込めて香りを展示。来場者は、ガラスドームの蓋を鼻に近づけて、実際に香りを嗅ぐことができます。嗅ぐ人によって、その香りの表現はさまざま。筆者は、梅や杏仁のような甘くてやわらかい香りのなかに、気品ある古典的な美しさを感じました。ぜひ、会場で天下人を魅了した“正倉院宝物の香り”を楽しんでみてはいかがでしょうか。

取材・撮影・文/ Maika (『映画とわたし』)

開催概要

特別展「正倉院 THE SHOW -感じる。いま、ここにある奇跡-」
会期2025年6月14日(土)~8月24日(日)  
会場大阪歴史博物館 6階特別展示室
開館時間9:30〜17:00 (入館は閉館の30分前まで)
休館日/毎週火曜日 (ただし、8月12日(火)は開館)

★観覧料に関する詳細は、公式ホームページをご覧ください。

主催/大阪歴史博物館、「正倉院 THE SHOW」実行委員会(読売テレビ、読売新聞社、TOPPAN、角川メディアハウス)
監修/宮内庁正倉院事務所
特別協賛/非破壊検査
協賛/きんでん、清水建設、タケモトピアノ
技術協力/エプソン販売
協力/高砂香料工業
後援/公益財団法人大阪観光局

*2025年9月20日(土)~11月9日(日)にかけ、東京・上野の森美術館に巡回予定

当サイトでは、日常に「映画」や「エンターテイメント」を感じられるようなイベント・企画を応援しています!これまでの掲載記事は、こちらよりご覧ください♪
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!