2021年9月11日(土)から11月7日(日)まで、兵庫県立美術館で開催されている特別展「ハリー・ポッターと魔法の歴史」。
本展覧会は、2017年にイギリスの大英図書館が企画・開催した展覧会 “Harry Potter: A History of Magic” の国際巡回展で、原作者J.K.ローリングの直筆原稿やスケッチ、大英図書館が所蔵する貴重な資料が展示されています。
先日、記者内覧会が開催されましたので、館内で撮影したお写真とともに展覧会の見どころをたっぷりとご紹介!また、ご家庭でも魔法の世界が楽しめる会場限定グッズの情報をお届けします。
ようこそ、魔法魔術学校へ
会場は、ホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って全10章で構成されています。
第1章 旅
「ハリー・ポッター」の物語は、1990年6月マンチェスターからロンドンへ向かう列車の中で、作家J.K.ローリングの思い付いたアイディアから始まりました。
その後「ハリー・ポッター」シリーズは、20年以上にわたり世界中で愛される作品となるのです。
第1章では、ブルームズベリー社で『ハリー・ポッターと賢者の石』が出版されるきっかけとなったアリス・ニュートン(8歳)の読者感想文や、ジム・ケイによるホグワーツ特急の絵画など魔法界への旅に関する資料が展示されています。
第2章 魔法薬学
化学や医学が発達していなかった時代に薬作りは特に重要とされ、魔法界においてもそれらは欠かせない技術の1つでした。薬は病気を治すだけでなく、人間の外見を変えたり、恋心を引き起こしたりすることもできると考えられていたそうです。
第2章では、「ハリー・ポッター」シリーズでも特に人気の高い「セブルス・スネイプ」教授の肖像画や、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』にも登場したベゾアール石、破裂した大鍋など、薬に関わる古今の記録に関する資料が展示されています。
◆注目ポイント
ジム・ケイによる「セブルス・スネイプ」教授の肖像画には、彼の手元にユリの花が描かれています。これは、「ハリー・ポッター」の母親「リリー・ポッター」への永遠の愛を表しているそうです。
第3章 錬金術
『ハリー・ポッターと賢者の石』に登場する賢者の石は、永遠の命を与える「命の水」を生成することができると信じられ、中世ヨーロッパの錬金術師がその獲得に奮闘しました。
「ハーマイオニー・グレンジャー」が図書室で読み上げた、「ニコラス・フラメルは、我々の知る限り、『賢者の石の創造に成功した唯一の者』」という台詞も、とても印象に残っています。
第3章では、賢者の石の作り方が記された長さ4メートルにもなる大変希少な巻物『リプリー・スクロール』など、錬金術に関する資料が展示されています。
第4章 薬学草
薬効を持つ植物は、古くから薬の原料として使用され、世界各地の書物にも記録が残されてきました。「ハリー・ポッター」シリーズには、引き抜くと叫び声をあげる「マンドレイク」をはじめ、「ヘレボルス」、「ハナハッカ」などの薬草が魔法薬の材料として登場します。
第4章では、「マンドレイク」の根やスケッチ、J.K.ローリングが描いた「ポモーナ・スプラウト」教授のペン画など、薬草学に関する資料が展示されています。
◆注目ポイント
ジョヴァンニ・カダモストの『図説薬草書』には、「マンドレイク」が収穫される様子が描かれています。人間が「マンドレイク」を収穫するのは非常に危険だと考えられていましたが、犬に引き抜かせることで「マンドレイク」のすさまじい悲鳴をかき消すのに役立ったという伝説も。
第5章 呪文学
J.K.ローリングが「呪文は、一番創造的な魔法だと思う。(物体を完全に変えるのではなく)物体に性質を付け加えるから。」と語っているように、「ウィンガーディアム・レヴィオーサ(浮遊せよ)」「アロホモーラ(開け)」など、魔法の力を持つ言葉は「ハリー・ポッター」シリーズに欠かせません。
第5章では、ダイアゴン横丁に関するスケッチ、最も有名な呪文「アブラカダブラ」に初めて言及したとされる13世紀の書物をはじめ、呪文に関する文献や、魔女に関するアイテムが展示されています。
第6章 天文学
ホグワーツ魔法魔術学校の必須科目でもある、天文学。古くから人は、星はこの先に起こりうる出来事を示すものだと考え、天文学を発達させてきました。
また、「ハリー・ポッター」シリーズの物語には「ルーナ・ラブグッド」や「シリウス・ブラック」など、月や星に関わる名前が付けられている人物が登場します。
第6章では、天文学で用いられた天球儀や、レオナルド・ダ・ヴィンチが40年にわたって取り組んだ科学的考察を書き綴った手稿など、天文学に関する資料が展示されています。
◆注目ポイント
大英図書館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチの「天体にまつわるメモとスケッチ」は世界に現存する約30冊のうちの1冊と、大変貴重な資料です。お見逃しなく!
第7章 占い学
古代において、未来を占うことは人間の運命を支配する神々と関わりを持つことだと考えられてきました。「ハリー・ポッター」シリーズでは、「闇の帝王を倒す力を持つ男の子が7月の終わりに生まれる」という予言が、物語を通じて重要な役割を果たします。
第7章では、水晶占い、手相占い、タロットや茶葉占いなど、世界中のさまざまな占いに関する資料が展示されています。
第8章 闇の魔術に対する防衛術
魔法は多くの文化において、悪の力に対抗するものとして使用されてきました。
ホグワーツ魔法魔術学校の授業でも狼人間や河童などが紹介されていますが、それら闇の生物から身を守るものとして、魔除けのお守りや呪文などが生まれたそうです。
第8章では、闇の生物に対抗する魔除けの方法を記した世界各地の資料が展示されています。
◆注目ポイント
19世紀イギリスを代表する画家 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによる《魔法円》は、特に注目したい絵画です。
美しい色鮮やかなドレスをまとった魔女は、身を守るために自分の周りに杖で円を描いています。防衛魔術のこのような背景的な描写は、『ハリー・ポッターと死の秘宝』で「ハーマイオニー・グレンジャー」が保護呪文を使って安全なキャンプ地を作った場面とよく似ています。
第9章 魔法生物飼育学
中世の書物には、実在する動物と並んで ユニコーンやフェニックス、ドラゴンといった想像上の生物が描かれていました。
ホグワーツ魔法魔術学校においては、第3学年からの選択科目として授業を受けることができ、その中でも特に秀でた生徒は『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の主人公「ニュート・スキャマンダー」のように、魔法動物学者になる者もいました。
第9章では、「ハグリッド」の肖像画や彼の飼育しているヒッポグリフの絵画、また本展覧会のメインビジュアルにもなっている、ジム・ケイによる「不死鳥のスケッチ」など、魔法動物に関する資料が展示されています。
第10章 過去、現在、未来
本章では、これまで様々な言語に翻訳されてきた「ハリー・ポッター」シリーズの書籍や、佐竹美保による表紙イラスト、また大人になった「ハリー・ポッター」の姿を描いた舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』の衣装が展示されています。
会場限定グッズのご紹介
お家時間でも、魔法の世界が楽しめる…!本展覧会では、会場限定のオリジナルグッズも多数展開されています。
実際に手に取り、自宅で撮影したグッズをご紹介します。
特製のボックスの半分にはメモ、半分にはお菓子が入っています。使い終わったあとは、カードや名刺の保管ボックスとして使えます。
可愛いボトルの正体は…なんと、スパークリングドリンクの作れる手作りキット。
炭酸水を注いで冷蔵庫で1時間ほど冷やすと、リンゴやストロベリーのフルーティーな香りが広がる特製スパークリングドリンクの出来上がり♡
全5種類、何が入っているかは開封してからのお楽しみ…♡
私は、『古代エジプト占い師最後の遺産』が当たりました。
本展覧会の図録。展示物をより深く知れる一冊です。
※撮影時に使用した小物(造草/コイン/鍵/トレイ/ミニフィギュア/マット/ランタン/グラス/ティーカップ/ランタン/お皿)は私物です。
開催概要
会場 | 兵庫県立美術館 |
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住所 | 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1[HAT神戸内] |
期間 | 2021年9月11日(土)~11月7日(日) |
開館時間 | 10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日 ※ただし9月20日(月・祝)は開館、翌21日(火)は休館 |
問合せ先 | 078-262-1011(兵庫県立美術館) |
※本展は新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため、日時指定制が導入されています。詳しくは、公式サイトをご確認ください。
展覧会公式サイト:https://historyofmagic.jp/
参考文献:図録「ハリー・ポッターと魔法の歴史」