【レポート】映画音楽の巨匠 ジョン・ウィリアムズ氏が30年ぶりに来日、音楽祭で自作指揮 『セイジ・オザワ 松本フェスティバル』

©大窪道治/2023OMF

2023年9月2日、世界的指揮者の小澤征爾氏が総監督を務める音楽祭「セイジ・オザワ松本フェスティバル(OMF)」のオーケストラ公演が開催され、『スター・ウォーズ』、『E.T.』など数々の映画音楽を手がけた世界的な作曲家・ジョン・ウィリアムズ氏らが出演しました。カーテンコールには小澤氏も舞台に登場し、音楽祭を大いに盛り上げました。

本記事では、まさに歴史的な公演となった「オーケストラ コンサート Bプログラム」の模様をお届けします。

目次

《オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラム》で観客を魅了

撮影:Webサイト『映画とわたし』

本公演の会場は、OMFとともに歴史を歩んできた「キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)」。
ロビーには、音楽祭の総監督を務める小澤征爾氏、また本公演で指揮を務めるジョン・ウィリアムズ氏、ステファン・ドゥネーヴ氏のパネルやフォトスポットが登場。映画に登場するキャラクターが描かれたファッションや持参したぬいぐるみとともに会場の雰囲気を楽しむ来場者の姿も見られ、この日を心待ちにしていた特別な想いが伝わってきました。

撮影:Webサイト『映画とわたし』
撮影:Webサイト『映画とわたし』
撮影:Webサイト『映画とわたし』

コンサートは《オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラム》として前半と後半に分かれており、前半はステファン・ドゥネーヴ氏、後半はジョン・ウィリアムズ氏がサイトウ・キネン・オーケストラを指揮しました。

約1920人の観客の盛大な拍手のなか、ステファン・ドゥネーヴ氏が登場。天皇皇后両陛下(当時 皇太子同妃両殿下)の結婚式を祝福した祝典曲「雅の鐘」、小澤征爾氏とボストン交響楽団の4半世紀にわたるアーティスティック・コラボレーションを祝して書かれた「Tributes! (For Seiji)」で幕が上がると、会場は一気に華やかな祝福ムードに。
演奏後、マイクを手に取ったドゥネーヴ氏は日本語で「なんて素晴らしいオーケストラなんだ!」と喜びの気持ちをコメントしました。

『遥かなる大地へ』組曲、ドゥネーヴ氏にとって特に思い入れの強い『E.T.』より「遥か300万光年の彼方から」、「Stargazers」、「フライング・テーマ」と続き、後半へと期待を高めます。

■MEMO■

ステファン・ドゥネーヴ氏は 『E.T.』が公開された1982年当時、主人公エリオットと年齢が同い年であったことから、この映画が自身にとって特別な存在であることを振り返りました。
なかでも「Stargazers」(『E.T.』より)は、美しく穏やかなハープの音色が印象的な楽曲。E.T.とエリオットのように、深い絆と友情で結ばれた小澤氏とウィリアムズ氏へ捧ぐ、特別な演奏となりました。

映画音楽の巨匠 ジョン・ウィリアムズ氏が登場!

©山田毅/2023OMF

コンサート後半では、ひと際大きな拍手と歓声が沸き起こり、白のジャケットとスーツに身を包んだジョン・ウィリアムズ氏が登場。
オープニングにふさわしい「スーパーマン・マーチ」で会場を盛り上げると、マイクを手に取ったウィリアムズ氏は「30年ぶりに、この美しい国 日本に来ることができて嬉しいです。」と満面の笑顔でコメント。通訳を務めたチェロ奏者の工藤すみれさんとのコミュニケーションのなかでお茶目な一面も見られ、そのチャーミングな人柄に会場が温かい空気に包まれました。
また、小澤征爾氏について「彼は、世界中で愛され続けているマエストロです。」と話し、「彼を見て、指揮の勉強をしました。心から尊敬していて、愛しています。」と、再会の喜びを熱く語りました。

©大窪道治/2023OMF

『ハリー・ポッター』からは、「ヘドウィグのテーマ」(『ハリー・ポッターと賢者の石』から)、「不死鳥フォークス」(『ハリー・ポッターと秘密の部屋』から)、「ハリーの不思議な世界」(『ハリー・ポッターと賢者の石』から)の3曲を演奏。指揮棒がまるで”魔法の杖”のように見える、唯一無二の特別な瞬間でした。

続く「『シンドラーのリスト』テーマ」では、豊嶋泰嗣さんが哀愁漂うヴァイオリン・ソロで会場を魅了。そして、『スター・ウォーズ』より「レベリオン・イズ・リボーン」(「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」から)、「王女レイアのテーマ」(『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から)、「王座の間とエンドタイトル」(『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から)の3曲が演奏されると、会場のボルテージは最高潮に!

©大窪道治/2023OMF

アンコールには、「ヨーダのテーマ」(『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』から)、「レイダース・マーチ」(『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)、「帝国のマーチ」(『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』から)の3曲を披露。観客はスタンディングオベーションでウィリアムズ氏を讃えました。

カーテンコールには、ウィリアムズ氏の「セイジ!」の声に促され、小澤征爾氏が登場。会場からはこの日一番の熱い拍手がおくられ、二人の巨匠がステージ上でしっかりと目を見つめ合い、固く握手を交わした、まさに歴史的瞬間となりました。鳴りやまない拍手の中、前半を指揮したステファン・ドゥネーヴ氏、そして長野県の県花「りんどう」を手にしたサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーも笑顔で観客の拍手と声援にこたえ、本公演は大盛況で幕を閉じました。

©山田毅/2023OMF

小澤征爾氏が人生をかけて情熱を注ぎ、紡いできた素晴らしい音楽の輪。御年91歳を迎えたジョン・ウィリアムズ氏の30年ぶりの来日がかなったのも、世界で活躍する小澤氏の魅力的な人柄と偉大なる功績に他なりません。長野県松本市から世界へとつながる音楽祭は、新たなる”伝説”の始まりを感じさせる、そして音楽を心から愛する人々が集う、喜びにあふれた温かい場所でした。

撮影:Webサイト『映画とわたし』

セイジ・オザワ松本フェスティバル
「オーケストラ コンサート Bプログラム」

◎上演曲

《オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラム》

雅の鐘*
Tributes! (For Seiji)*
『遥かなる大地へ』組曲*
『E.T.』より *
  遥か300万光年の彼方から
  Stargazers
  フライング・テーマ
スーパーマン・マーチ
『ハリー・ポッター』より
  ヘドウィグのテーマ(『ハリー・ポッターと賢者の石』から)
  不死鳥フォークス(『ハリー・ポッターと秘密の部屋』から)
  ハリーの不思議な世界(『ハリー・ポッターと賢者の石』から)
『シンドラーのリスト』テーマ
『スター・ウォーズ』より
  レベリオン・イズ・リボーン(「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」から)
  王女レイアのテーマ(『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から)
  王座の間とエンドタイトル(『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』から

〈アンコール〉
ヨーダのテーマ(『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』から)
レイダース・マーチ(『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)
帝国のマーチ(『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』から)


◎公演情報

2023年9月2日(土) キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
▶オーケストラ出演者一覧(PDF)
指揮:ジョン・ウィリアムズ、ステファン・ドゥヌーヴ *

公演Webサイト
https://www.ozawa-festival.com/programs/2023/orchestra-b.html

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この記事を書いた人

【取材、撮影、記事作成など、Webサイト『映画とわたし』に関わる全てのことを担当】

兵庫県神戸市出身、関西大学卒業。大学在学中にシンガーとして音楽活動を開始。CDリリースや数々のアーティストのバックコーラスを経て、ディズニー映画『美女と野獣』の日本語版デュエットソングDAMガイドボーカル(第一興商)を務める。卒業後は、関西のマスメディアで業務に携わり、2019年には神戸のラジオブースでパーソナリティとして活動。
2022年には、阪神百貨店で開催されたバレンタイン催事のイメージソング『Strawberry』を制作。Webメディア『映画とわたし』の運営を中心に、記事掲載や写真・動画撮影、音楽を通してモノやコトの魅力を発信中。

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