【取材レポ】堤真一、山田裕貴が『木の上の軍隊』大阪先行上映会の舞台挨拶に登場!制作秘話や作品の魅力を熱弁

(左から)堤真一さん、山田裕貴さん
撮影:『映画とわたし』編集部

終戦を知らずに2年間、木の上で生き抜いた日本兵の実話に基づく映画『木の上の軍隊』が2025年7月25日(金)に全国公開となります。作家・井上ひさしが原案を遺し、こまつ座にて上演された舞台「木の上の軍隊」を映画化した本作は、6月13日(金)より沖縄で先行公開され、初週金土日3日間の観客動員が沖縄No.1大ヒットスタートを記録。さらに、沖縄・スターシアターズ系の4劇場では、金土日観客動員数が4週連続で第1位を記録しました。

全国公開まで約1週間と迫る17日(木)、大阪ステーションシティシネマ(大阪市北区)にて 本作の大阪先行上映会が開催され、初共演にしてダブル主演を務める堤真一さん山田裕貴さんが本編上映後の舞台挨拶に登壇しました。本記事では、イベントの模様の一部をお届けします。

来場者の盛大な拍手のなか、堤真一さんと山田裕貴さんが壇上に登場。まずは、イベントの開催地である大阪にまつわるトークを繰り広げ、兵庫県西宮市出身の堤さんは会場からの“おかえりなさい”という温かい拍手に「ただいま〜!」と笑顔でこたえました。この日は、午前中から大阪で映画のプロモーションを行なっていたお二人。“大阪っぽさ”を味わえたかどうか聞かれると、堤さんが山田さんに「さっき、たこ焼き食べてなかった?」と一言。山田さんは「食べました!あと、リンゴ姉さんが隣に座られていまして。この状況は、大阪でしかないなっていう感覚になりました!」と笑顔で話しました。

さらに、大の阪神ファンで知られる堤さんは「今年は調子いいですね〜。まだまだ波乱はあると思うから、まだ安心しないほうが良いと思いますけど。」と話し、昨日の試合を振り返るなど、まるで監督やコーチ目線の言葉で会場を沸かせました。一方、元プロ野球選手の山田和利氏を父に持つ山田さんは「阪神に星野(仙一)監督が行ったときに、阪神がすごく好きになったんですよね。僕は、レッドスター赤星(憲広)さんが大好きだったんですけどね。」と振り返り、野球話で盛り上がる一幕も。

1945年、沖縄県伊江島。激しい攻防戦が展開される中、二人の日本兵が木の上に身を潜め、日本の敗戦を知らぬまま2年もの間生き延びた——。そんな衝撃の実話から着想を得た本作。ダブル主演を務める堤さんと山田さんは、初共演ながら阿吽の呼吸で、極限状態の兵士たちを繊細かつ力強く、人間らしい可笑しみをもって表現しました。

戦闘経験が豊富で国家を背負う厳格な上官・山下一雄を演じる堤さんは「いかにして“生き延びる”かという、その姿を描いていて。今の時代になると当たり前のことでも、当時は許されなかったという。いかに今が平和かということに気付くだろうし、そしてこの平和を守っていかなきゃいけない。見終わった後に『良い映画だな』と本当に思いました。」とコメント。また、島から出たことがなくどこか呑気な沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンを演じる山田さんは「価値観の違う二人がどうやって一緒に生きていくか。生きようとするためには、食べ物や家がなければならない。水が飲めなきゃいけない。今の僕たちは幸せな時代を生きているけれど、過去にはそうではない時間があって。そのことを知らない世代が増えてきたので、こういったことを伝えていける映画になるのかなと思いましたね。」と話しました。

堤真一さん

本作は、全編にわたって沖縄でのロケが行われ、伊江島では実際に生い茂るガジュマルの樹上で撮影を敢行。ガジュマルの木は、本作のために美術部や現地の造園業者協力のもと、数ヶ月かけて伊江島・ミースィ公園に移植されました。堤さんは「CGとかは一切なしで。カメラマンが木の上に上がったり、大きなクレーンを使ったりというような作業もいっぱいありました。」とコメント。山田さんは「僕らがお芝居をしている木の上で、僕ら以外に5〜6人は木の枝でマイクを構えていたり、照明や反射板を置いてくれている人がいたり。」と話し、困難を極めた樹上でのシーンも、スタッフと力を合わせて入念に撮影を行なったことを明かしました。

山田裕貴さん

さらに、山田さんはクランクアップ後に堤さんが目をウルウルさせながらハグをして『ありがとう』と言ってくれたことを笑顔で振り返りながら「上官としての目のウルウルなのか。それとも山田裕貴と(撮影が)楽しかったな、の目のウルウルなのか。どっちだったんだろうって聞きたくて。」と切り出すと、堤さんは「あんなところで芝居するわけねぇだろ!」と即答。続けて「本当に戦友っていう気持ちが強かったかな。楽しかったし、素晴らしいスタッフの人たちだったし、前向きだったし、みんな明るくて。いい作品にできたんじゃないかなっていう思いは、やっぱり山田くんによるところがすごく大きかったから、労いの言葉と感謝の気持ちでハグいきました。」と話すと、山田さんは「だって、(堤さんは)マジで色んな作品やってきてるんですよ。その人が『良い作品にできたんじゃないかって思った』って。これ、すごくないですか?!」と嬉しそうな様子。会場からは、大きな拍手が送られました。

終戦から80年、熾烈な地上戦が繰り広げられた沖縄戦を必死で生き抜いた日本兵の実話に基づく物語は、観る者すべての心に深く刻まれます。最後に、来場者に向けて山田さんが「この作品は、生きることが何よりも大事だということをメッセージとして持っていると思います。明日も頑張って生きるか!っていう力を、皆さんに与えられたら良いなと思います。」と挨拶。堤さんは「自分たちの祖先が(戦争で)生き残ってくれたから、今僕がここに存在しているのだということを映画を見た後に感じました。そして、この映画をたくさんの子どもたちにも見てもらいたいと思います。」と力強くコメントし、大阪での舞台挨拶は作品への期待感に包まれながら幕を下ろしました。

取材・撮影・文/ Maika (Webサイト『映画とわたし』)

作品詳細

©2025「木の上の軍隊」製作委員会

『木の上の軍隊』

●STORY●
太平洋戦争末期、戦況が悪化の一途を辿る1945年。飛行場の占領を狙い、沖縄・伊江島に米軍が侵攻。激しい攻防戦の末に、島は壊滅的な 状況に陥っていた。
宮崎から派兵された少尉・山下一雄(堤 真一)と沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン(山田裕貴)は、敵の銃撃に追い詰められ、大きなガジュマルの木の上に身を潜める。仲間の死体は増え続け、圧倒的な戦力の差を目の当たりにした山下は、援軍が来るまでその場で待機することに。戦闘経験が豊富で国家を背負う厳格な上官・山下と、島から出たことがなくどこか呑気な新兵・安慶名は、話が嚙み合わないながらも、二人きりでじっと恐怖と飢えに耐え忍んでいた。やがて戦争は日本の敗戦をもって終結するが、そのことを知る術もない二人の“孤独な戦争”は続いていく。 極限の樹上生活の中で、彼らが必死に戦い続けたものとは――。

●原作●
「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案 / 井上ひさし)
作家・井上ひさしが生前やりたい事として記していたオキナワを舞台にした物語。タイトルは「木の上の軍隊」。井上が遺した 1 枚のメモを基に、井上ひさし没後、こまつ座&ホリプロ公演として 2013年、藤原竜也、山西惇、片平なぎさを迎え初演された。その後、「父と暮せば」「母と暮せば」と並ぶこまつ座「戦後“命”の三部作」に位置づけられ、16年、19年にはこまつ座公演として山西惇、松下洸平、普天間かおりが出演し、再演、再々演され、19年には沖縄でも上演。世界からも注目され様々な国から上演依頼がある作品である。2023年6月より韓国公演がスタートし、8月の終演までソールドアウトの人気を博した。

7月25日(金)
大阪ステーションシティシネマ他
全国ロードショー

出演:堤真一 山田裕貴
津波竜斗 玉代㔟圭司 尚玄 岸本尚泰 城間やよい 川田広樹(ガレッジセール) / 山西 惇
監督・脚本:平 一紘
原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案 / 井上ひさし)


主題歌:Anly「ニヌファブシ」
企画:横澤匡広
プロデューサー:横澤匡広 小西啓介 井上麻矢 大城賢吾
企画製作プロダクション:エコーズ
企画協力:こまつ座
制作プロダクション:キリシマ一九四五 PROJECT9
後援:沖縄県
特別協力:伊江村
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ

©2025「木の上の軍隊」製作委員会

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