6月3日(水)より京都市京セラ美術館にて、展覧会「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」が開催されています。本展覧会は、テート美術館が同館のコレクションを中心に、1990年代の英国美術の革新的な創作の軌跡を多角的に紹介する企画。ダミアン・ハースト、トレイシー・エミン、ヴォルフガング・ティルマンス、ジュリアン・オピー、ルベイナ・ヒミドなど、50名を超える作家による約90作品を通して、この時代のクリエイティブな熱狂がいかに世界のアートシーンに決定的な影響を与えたのかを検証します。
今回は、本展覧会のアンバサダーを務める俳優の齋藤飛鳥さんに、本展の見どころや“英国カルチャー”の魅力について語っていただきました。
── 本展覧会ならではの“アートの楽しみ方”は、どんなところにあると思いますか。
絵、写真、立体作品、映像や音楽、全部が集まっていることで、見やすくて、身近に感じやすいところが本展覧会の良さの一つだと思います。日常にあるものがそのままアートとして使われていたりもします。アートのことを細かくわからなくても『こういうことが伝えたいのかな』『ストレートではなく、少し遠回りして伝えているんだろうな』と考えたり、ただ目の前にあるものを見て自分の心が動いていることを感じられたり。身近なものとして、しっかり刺激を受けられるのかなと思います。
── アンバサダー就任後、美術館での鑑賞方法などに変化はありましたか。
今まで美術館には年に数回ほどしか行けていませんでしたが、アンバサダーに就任してからは月1回のペースで足を運ぶようになりました。アーティストたちの表現に必ずしも共感しなくていいし、刺激を受けなくてもいい。ただ“見た”という事実だけでも意味があると思うと、鑑賞の幅が広がったんです。その意識を変えさせてくれたのは、やはり本展覧会のおかげなのかなと思います。

── 齋藤さんは、細野晴臣さんとともに本展の音声ガイドも務められていますよね。
細野さんは英国カルチャーにすごくお詳しい方なので、その部分はお任せしました。私はすごく一般的な感覚で、本当に見たままの感情を乗せて、できるだけフラットに皆さんの耳に入りやすいように意識しました。ただ、音声ガイドの収録にあたり、いただいた資料を読んで自分なりに勉強して臨んだつもりでしたが、実際に作品を目の前にすると作品からパワーや感情が伝わってきて、自分が学んだことがすごくちっぽけに感じられて…。もう少し表現の仕方を変えられたんじゃないかと今になって思うこともあるので、それは次回に活かしたいと思います。
── 音楽や映画など、“英国カルチャー”のどんなところが好きですか。また、本展覧会を鑑賞する前に触れておくとより楽しめるようなことがあったら教えていただきたいです。
カルチャー全部に共通して言えるのが、楽しそうすぎないということ。バンドの楽曲も、ちょっと皮肉めいたことを言っていたり。すごく知的だけど、ちょっとだけ意地悪が入っていたり。それは映画でも音楽でも、どのカルチャーでも同じムードを感じて、そのユーモアのバランスがすごく好きです。

私は、もともとイギリスのバンドが好きで、よく聴いています。和訳の歌詞を見ると、社会風刺のようなものや政治に触れているものも多くて。そのような表現者が多いということをなんとなく頭に入れた状態でこの展覧会に触れました。『だからみんなこういう風に思っていたんだ』とか、逆に『じゃあこの時代はこういうことがあったと言われているけど、本当なのかな』などを考えるきっかけになったので、英国の音楽に触れると、より展覧会を深く知ることができるかもしれません。
── “英国カルチャー”といえば、ファッションも魅力ですよね。今日のコーディネートのポイントを教えてください。
ファッションは、どの時期を見てもとても可愛いし、取り入れやすいから好きです。本展覧会は、作家やアーティストたちの強い主張もあるし、ネガティブな感情を湧き立てる作品も多いので、今回はシックな色合いのバーバリーのワンピースを主役にしました。作品たちの雰囲気に自分が共存できるように、入り込めるように。あと、動物の作品にちなんで、耳に牛とアヒルのピアスをつけてポップな要素を取り入れました。
── これまでに何度か英国に行かれたことがあると思いますが、次回訪れた際に行きたい場所はありますか。
やはり、テート美術館には行きたいです。前に一度行きましたが、10代の頃で何の気なしにふらっと行ったので、衝撃は受けたけどあまり細かいところまでは覚えていなくて。今こうしてアンバサダーのご縁をいただいたので、もう一度足を運びたいと思っています。
── 本展覧会の鑑賞後に行くと、また感じ方も変わりそうですよね。
そうですよね。この展覧会を通して、作家やアーティストたちの発信する力、強い意志を感じました。興味本位ですが、ダミアン・ハーストやフランシス・ベーコンに、作品について実際に聞いてみたくもなります。私も表現するお仕事をしているので、展覧会を通して身が引き締まる思いにはなります。
── YBAの作家たちの自由な活動によって、90年代の英国のアートシーンは世界的な注目を集めるようになりました。今、齋藤さん自身が声を上げたいことやメッセージなどはありますか。
展覧会を通して90年代に英国で起こった出来事や、ネガティブな面も少しずつ知ることができました。私たちはどうしても“右に倣え”になってしまいますよね。でも、やはり声を上げることは大事だと思います。いいことばかりではないけどできるだけ心を平穏に保ちたいし、それによって自分の身の周りにも平和をもたらしたいですね。

取材・撮影・文/ Maika (『映画とわたし』編集部)
開催概要
「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」
| 日程 | 2026年6月3日(水)~2026年9月6日(日) 【休館日】月曜日 ※7月20日(月・祝)は開館 |
|---|---|
| 開館時間 | 10:00-18:00 ※入場は閉館の30分前まで |
| 会 場 | 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 |
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