山田洋次監督の91本目となる最新作『TOKYOタクシー』が2025年11月21日(金)より全国公開となります。12日(水)、公開直前イベントとして大阪市内にてタクシーセレモニー&舞台挨拶が開催され、主演の倍賞千恵子さん、木村拓哉さん、山田洋次監督が登壇しました。本記事では、イベントの模様の一部をお届けします。
本作は、フランス映画『パリタクシー』を原作に、昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田洋次監督が、刻々と変化する大都市<東京>を舞台に人生の喜びを謳いあげる感動のヒューマンドラマ。山田監督作品には欠かせない名女優・倍賞千恵子さん、そして『武士の一分』以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉さんの豪華共演が実現しました。
観客からの大きな歓声と拍手に包まれて、ゲストの皆さんがステージに登場。いよいよ本作の公開が来週21日(金)に迫るなか、85歳のマダム・高野すみれ役を演じる倍賞さんは「寒い時期に、木村くんのコンサートを見に行って。そして撮影に入って、あっという間に終わって。皆さんの前に(舞台挨拶で)立っているというのはなんだかとても不思議な感じがします。」とコメント。倍賞さんと木村さんは『ハウルの動く城』(2004)以来21年ぶりの共演で、実写映画では初めてとなります。倍賞さんは「撮影中、バックミラーに映る木村くんの目を見た時に、すごく目力のある方だなと思いながら『この人だったら、私が何を言ってもきっと受け止めてくれるだろうな』と思って。とても楽しくお仕事させていただきました。」と振り返りました。

タクシー運転手の宇佐美浩二役を演じる木村さんは、作品を見終えたばかりの興奮冷めやらぬ客席を見渡しながら「皆さん、素敵な時間を過ごしてくださったんだろうなって。山田監督の思いやりと愛情と厳しさっていうものも感じていただけたのかなと思います。」と話しました。また、本作は山田監督の91本目となる作品、そして倍賞さんの178本目の出演作品ということで、木村さんが「これは…ホームランの数じゃないですよね?(笑)素晴らしいなと思います。」と驚きを交えつつ讃えました。大阪での思い出については「幼少期に葛飾柴又にいたという事実もあるんですが、僕は箕面にもいたことがあるので、大阪弁を耳にしていてもスムーズに自分の中に入ってくるんですよね。」と明かし「グループの時もそうでしたし、個人でも大阪城ホールで皆さんと騒ぐ瞬間はやっぱり非常に盛り上がります。その代わり、MCに関してはものすごく厳しい(笑)」と笑顔で語りました。
山田監督は「この映画は今年の早春にクランクインしまして、終わったころにはものすごい暑い夏になって、夏が過ぎてようやく今封切りを迎えられます。この映画が成功してくれるといいなと心から願っております。今日は本当にどうもありがとう。」と挨拶。豊中市出身の山田監督は「大阪出身なんですよね、一応はね(笑)なんで一応かと言うと、僕は満州の小学校に入りまして『雪(ゆき↓)が降ってきた』と言ったら、先生に『違うよ、雪(ゆき↑)だよ』と。なんでアクセントが違うんだろうと思っていたら、母親に『あなたは大阪で育ったから関西のイントネーションが身についているのよ。』と言われたことがあります。そんなご縁があり、ここでは大阪出身と申し上げております!」と自身の幼少期の思い出を語りました。

するとここで、11月13日(木)に誕生日を迎える木村さんへサプライズでお祝い!観客の歓声とともにステージに登場したバースデーケーキは、劇中に登場するタクシーを再現したデザインとなっており、木村さんはケーキを見つめながら「わぁ…すご!こんなスイートな感じなんですね!」と笑顔で一言。さらに、倍賞さんからのサプライズでバースデーソング生歌唱のプレゼントも。倍賞さんの歌声が会場いっぱいに響き渡るなか、最後のフレーズは観客と一緒に歌い上げ、拍手と大歓声が送られました。木村さんと倍賞さんが熱いハグを交わし、山田監督も満面の笑みで二人を見つめ、会場全体が温かい祝福ムードに包まれました。
最後に、山田監督が「もうすぐ封切りですが、この映画が大勢の人に届くように、そして『良かったよ、面白かったよ』と言ってもらえることを心から願っております。どうぞ皆さん、よろしくお願いします。」と力強くコメントし、舞台挨拶は幕を閉じました。
通天閣本通商店会(大阪市浪速区)にて開催されたタクシーセレモニーでは、木村さんが自ら運転する“劇中タクシー”に倍賞さんを乗せて、大阪のシンボル・通天閣をバックに商店街をドライブ!そして、本作のイメージカラーである“ピンクカーペット”を歩き、山田洋次監督が待つステージまで木村さんが倍賞さんをエスコート。会場に集まった観客からは熱い声援と温かい拍手が送られました。

先日、東京タワーで行われたタクシーセレモニーも大きな話題となりましたが、大阪でのドライブについて倍賞さんは「すごく感動しています。この映画に出演させていただいたおかげで、こんなイベントに出席できてドキドキしています!木村くん、運転が上手なんですよ。『ドキドキしてるわ』と言ったら『大丈夫です、任せてください』って言ってくれました。」と笑顔でコメント。木村さんは「幕が開くまでどんな景色が広がっているのか知らなかったので、こんなにたくさんの方に来ていただいて非常にありがたいです。本日は、自分の誕生日の前日ということもあり、皆さんからたくさんのバースデーメッセージをいただけて嬉しかったです!」と笑顔で話しました。
さらに、『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』(1981)では寅さんの旅の舞台となり、『おとうと』(2010)でも撮影をした通天閣に久々に訪れたことについて、山田監督は「今夜は一際、通天閣がかっこよく、綺麗にみえますね。本作のタイトルは『TOKYOタクシー』ですが、今夜は『OSAKAタクシー』にしなきゃいけないんじゃないかと思っております。」と話しました。
観客に向けて、倍賞さんは「素晴らしいスタッフの皆さんと一緒に、一生懸命この映画を作りました。お友達を誘って見ていただいたり、映画館を出た後にふと目があったりしたらその人とハイタッチをしてみるのもいいかなと思います。」と笑顔でコメント。木村さんは自身の演じた役柄を振り返り「タクシーのように、この車両のように前に進み続けるような作品と、皆さんに感じてもらえたら嬉しいです。」と熱く語りました。山田監督は「毎日を懸命に生きている人たちが幸せになってほしいという想いを精一杯込めた映画です。」と本作に込めた思いを話し、タクシーセレモニーは大歓声に包まれながら幕を閉じました。
取材・撮影・文/ Maika (Webサイト『映画とわたし』)
作品詳細
『TOKYOタクシー』
●STORY●
毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)。
娘の入学金や車検代、家の更新料など次々にのしかかる現実に、頭を悩ませていた。
そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込む。
最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と浩二に寄り道を依頼する。
東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。
たった1日の旅が、やがて二人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる―
11月21日(金)全国公開
◾️出演
倍賞千恵子 木村拓哉
蒼井優 迫田孝也 優香 中島瑠菜
神野三鈴 イ・ジュニョン マキタスポーツ 北山雅康 木村優来
小林稔侍 笹野高史
監督:山田洋次
脚本:山田洋次 朝原雄三
原作:映画「パリタクシー」(監督:クリスチャン・カリオン)
配給:松竹
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会

