山田洋次監督の91本目となる映画『TOKYOタクシー』が2025年11月21日（金）より全国公開となります。10月24日（金）、豊中市立文化芸術センター 大ホール（大阪府豊中市）にて本作の大阪先行上映会が開催され、山田洋次監督と、俳優の北山雅康さんが登壇しました。本記事では、イベントの模様の一部をお届けします。
豊中市名誉市民である山田監督は「生まれ故郷の豊中に久しぶりに帰ってまいりました。僕は、生まれも育ちも（豊中市）岡町です。僕の生まれた、赤い屋根のちょっとおしゃれな家が今でも大事に保存されているのが、とってもありがたいことだと思っています。豊中で、こんな大きい会場で、こんなにたくさんの人に僕の作品を見ていただいて本当に嬉しいです。」と挨拶すると、会場からは大きな拍手が起こりました。
本作は、フランス映画『パリタクシー』を原作に、昭和から平成、令和と、日本に生きる人々を長年描き続けてきた山田監督が、刻々と変化する大都市＜東京＞を舞台に人生の喜びを謳いあげる感動のヒューマンドラマ。山田監督作品には欠かせない名女優・倍賞千恵子さん、そして『武士の一分』以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉さんの豪華共演が実現しました。
85歳のマダム・高野すみれ役を演じる倍賞さんについて、山田監督は「倍賞さんは、“寅さん”の妹の“さくら”という役で、いつもお兄ちゃんのわがままを受け止める〈受ける役〉をやってきました。それが今度は反対に、積極的に運転手に語りかけるような役なんです。」とコメント。さらに、タクシー運転手の宇佐美浩二役を演じる木村さんについて「木村くんは、いろんな映画で主演として〈能動的に働きかける役〉をやってきた人。本作ではほとんど受け身の役なので、最初やってくれるかどうか心配したんだけど『ぜひやります』ということで。彼女（高野すみれ）の話を聞いてくれる役を演じてくれました。」と、これまでとは真逆の役柄を演じた二人について触れ「お二人に、僕は賞賛の拍手を贈りたいと思っております。」と熱く語りました。
本作は、走行中のタクシー車内で物語の多くが進んでいきます。二人の旅路は誰もが知る東京の名所を巡っていきますが、実は車内シーンの多くは車窓の風景を映したLEDパネルの中にタクシーを置いて撮影し、本物さながらの映像を実現するVP（バーチャルプロダクション）という技術を採用しています。山田監督は「まるで本当に走っているようで。撮影している時も錯覚するくらい。このシステムがあったから、この映画ができたようなものです。」と感激した様子で、撮影時を振り返りました。
1988年の「ダウンタウンヒーローズ」以降多くの山田監督作品に出演してきた北山さんは、今回の山田組について「やっぱり『僕の大好きな山田組や！』と思ったんですけど、いつもとちょっと雰囲気が違うなという部分もあって。よくよく見ていると、木村さんがスタッフの方と少年のように笑いながら楽しそうにお話をされてたんです。」とコメント。試行錯誤しながらやっとOKが出たという自身の撮影時を振り返りながら「撮影の間も（木村さんは）ずっと浩二さんとして私の芝居をちゃんと受けてくださっていて。本当にありがたいな、素敵な方だなと思いました。」と話しました。
最後に、来場者に向けて山田監督が「11月に日本全国のあちこちで封切られますけど、こんなに大きな会場で、こんなに大勢の観客での上映会というのはここしかないと思います。今日の上映会は、本当に貴重です。皆さんに感謝をしたいと思います。」と力強くコメントし、豊中市での先行上映会は作品への愛に包まれながら幕を下ろしました。
取材・撮影・文／ Maika (Webサイト『映画とわたし』)
作品詳細
『TOKYOタクシー』
●STORY●
毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二（木村拓哉）。
娘の入学金や車検代、家の更新料など次々にのしかかる現実に、頭を悩ませていた。
そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ（倍賞千恵子）を東京・柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込む。
最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と浩二に寄り道を依頼する。
東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。
たった1日の旅が、やがて二人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる―
11月21日（金）全国公開
◾️出演
倍賞千恵子 木村拓哉
蒼井優 迫田孝也 優香 中島瑠菜
神野三鈴 イ・ジュニョン マキタスポーツ 北山雅康 木村優来
小林稔侍 笹野高史
監督：山田洋次
脚本：山田洋次 朝原雄三
原作：映画「パリタクシー」（監督：クリスチャン・カリオン）
配給：松竹
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
Remake rights: courtesy of Pathé- Une HIRONDELLE PRODUCTIONS
Based on the film “UNE BELLE COURSE” written by Christian Carion and Cyril Gély directed by Christian Carion
© 2022 – UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS – PATHE FILMS – ARTEMIS PRODUCTIONS – TF1 FILMS PRODUCTION
