作家・黒川博行による“疫病神シリーズ”の傑作小説を、『パッチギ!』など数々の名作を世に送り出してきた井筒和幸監督が実写映画化する『国境』。同作は、大阪のヤクザ・桑原と、建設コンサルタント・二宮の対照的なコンビが、騙された金を取り戻すため、北朝鮮へ高跳びした詐欺師を追うノワールアクション。桑原役に伊藤英明、二宮役に染谷将太を迎え、現在、関西各地にて大規模なロケーション撮影を行なっています。
そんな映画『国境』の「オール関西“撮影中”会見」が4月16日(木)、関西一の超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)で実施され、ダブル主演の伊藤英明さんと染谷将太さん、監督の井筒和幸さん、原作者の黒川博行さん、企画・製作の紀伊宗之さんが登壇しました。
記者会見冒頭、ここまでの撮影のダイジェストムービーを放映。報道陣の期待が高まる中で5名が登場し、まず伊藤が「まいど!関西メディアの方がたくさんいらっしゃるということで、自分なりに考えて『まいど』と言いました」と威勢良く挨拶すると、染谷も「まいど!言わなきゃいけない感じ?」と口にして湧かせた。

写真:華みず希

写真:華みず希
2月下旬より関西各地で撮影されてきた同作も、クランクアップまで残り3週間。井筒監督は、撮影の手ごたえについて尋ねられると「奇しくも世界の親分たちが、自分の我欲でシマのとりあいをやっとる最中。うちらの映画もこの人ら二人(伊藤、染谷)がそんなことを揶揄するくだりがあります。今の時代だなと思って作っています」とし、続けて「娯楽映画を作りたかったからね。(昨今は)辛気くさい映画ばかりだから。ダメだよ。そう思わないか?」と“井筒節”も炸裂させた。

写真:華みず希
今回、井筒組初参加となった伊藤は「楽しくてしょうがないです。駆け出しの頃、井筒組の現場にある俳優さんのお付きで行ったらそのままチンピラAみたいな感じで出ることになったんです。そのときは右も左も分からなかったのですが、(井筒監督が)『兄ちゃん、もっとセリフにな、血が通った感じで言えたらもっとええと思うわ』と言ってくれたんです。それがずっとあって」と振り返り、「井筒作品はキャラクターがリアルで、生き生きしている印象があります。自然でアドリブのような空気感ですが、それはしっかり作られたものだったんだなって。監督は繊細に、熱を持って演技指導から画を作っています。僕はこの歳まで、恥ずかしながら映画や俳優のすごさに気づけているようで、実は気づけていませんでした。監督の熱量と演技指導で毎日新たな発見があり、良い学びになっています」と得られるものが多いと語った。
染谷も「学生時代から井筒さんの作品が大好きでした。まさか自分が井筒監督の作品の世界に入るとは思っていませんでした。現場は熱量が高く、みんなで戦うような毎日を送っていて、それが刺激的です。あらためて、映画作りがこんなに楽しいものだということを噛み締めています」とコメントした。

伊藤と染谷の共演は今回で6度目。染谷は、「(伊藤は)ただ、歩いているだけでも画になる。佇まいがスクリーン映えするというか。(『国境』では)それがさらにエネルギーが爆発していて、カメラのレンズが割れそうなくらい、波動がバーンと出ています」と伊藤を絶賛。一方で、伊藤は「監督は演出の中ですごく難しいことも伝えてくるのですが、(染谷は)瞬時にリアリズムと即興性を持って対応するんです。スタッフの方が染谷さんに『こうした方がいいかもしれません』とおっしゃったときも、それを聞いて監督が『染谷さんやで?』って。信頼感のある言葉を監督に言われているところが、すごく羨ましかったです」と本音をのぞかせた。

写真:華みず希
原作者の黒川は淡路島で行われた撮影に足を運んだそうで、「井筒さんは細かい演技指導をされ、シーンごとに粘りがあります。『この監督はこんなに一生懸命、映画を作る人なんやな』と思いました。これまで他の作品の現場も見てきましたが、井筒さんの熱量はどこの現場よりも熱いものがあります」と印象に残ったという。さらに「“疫病神シリーズ”は何度か映画化やドラマ化がありましたが、『国境』はスケールが大きく、予算的にもしんどいと思っていました。紀伊さんから話が来たときも、実現するとは思っていませんでした。ですので、完成した映画を自分の目で観るのが今は楽しみで仕方がありません」と映画化を喜んだ。

写真:華みず希
ちなみに今回、インフルエンサーも作品に多数参加しているが、その狙いについて紀伊プロデューサーは「普通は撮影中にこういう会見もしなければ、情報も出しません。でも早いタイミングでいろんな方に知ってもらおうと思って、インフルエンサーのみなさんにご協力いただいています。インフルエンサーのみなさんが炊き出しに来てくださったり、エキストラとして出演してくださったりしています。」と明かし、伊藤は「撮影時期的に寒いので、スタッフのみなさんも大変。温かいものを食べて、元気を出して欲しいですよね。僕の大好きなYouTuberのきまぐれクックさんはシジミ汁を作ってくださり、4杯くらい食べました」と感謝を述べた。
また井筒監督にとって今回は、2020年公開(撮影は2018年)『無頼』以来、8年ぶりとなる新作映画。「黒川先生の原作は、1960年代の映画『悪名』シリーズがモチーフとなっていると聞きました。僕は、『悪名』シリーズの勝新太郎さんと田宮二郎さんの見事な“シャシン”をかろうじて観ていた世代です。原作を読んだとき、あの掛け合いを思い出しました。『悪名』を抜くことはできないけど、追いつけるようなものを、日本映画でやってもいいんじゃないか」と意欲を見せ、「二人がアジアを駆け巡る冒険物語。僕もそういうものはやったことがない。大阪のヤクザ者と行きあぐねている青年が落とし前をつけるために国境を突破する。(自分にとって)初めてのタッチの作品」とチャレンジ精神を持って撮影に臨んでいるという。
伊藤も「(劇中で)『こっちは豚肉を食べているのに、国境を一つ跨いだら豚の餌も食われへん。そんなもんヤクザの世界でも縄張りがあって、縄張りを壊したら食っていかれへん』というセリフがあるのですが、考え方も育ちも全く違う二人が一つの目的達成のためにバディを組んで国境まで超えていくところに、この作品のおもしろさがあります。井筒監督のエッセンスも加わり、こんなにも『出来上がりを見たい』と思う作品は今まであまりありませんでした」、染谷も「娯楽映画で、笑えるしハラハラするし、テンポも軽快。全然説教臭くなく社会的な縮図が描かれていて、自分が大好きな映画だなって素直に思えます。二人が大冒険して、生きづらい世の中に自分の居場所を見つけていく。ある種の成長物語になると思います」と完成を待ち侘びた。

そして記者会見の最後にあらためて、染谷は「撮影していて、おもしろいシーンしかありません。無事に撮影を終えて、早くみなさまに観ていただきたいです」、伊藤も「特に関西のメディアのみなさんには、公開まで盛り上げていただきたいです。(宣伝で)バラエティ、ラジオ、なんでも行きますのでぜひ誘ってください」とアピールした。
文 / オフィシャル・レポートより
写真 / 華みず希
映画『国境』

オール関西撮影中
原作:黒川博行『国境』(文春文庫)
監督:井筒和幸
脚本:吉田康弘
企画:紀伊宗之
プロデューサー:村岡伸一郎
製作・配給:K2 Pictures
©2027 K2 Pictures

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