昭和最大の未解決事件をモチーフに、2人の男の姿を描いた塩田武士のミステリー小説「罪の声」を、小栗旬と星野源の初共演で映画化!
わたしの“感想”

グリコ・森永事件のことは、この映画ではじめて知りました。こんなにも多くの人々、企業、そしてお菓子を楽しみにしている子供たちを巻き込んだ恐ろしい事件があったとは。
作中はフィクションのため、『ギン萬事件』として登場します。
再取材を命じられた新聞記者と、父の遺品の中から事件で使われた録音テープを発見し「これは、自分が子供の頃の声だ」と気付いた男性の2人を主人公に物語が進んでいきます。

実際の事件は、未解決のまま時効を迎えました。しかし、当時の情景があまりにリアルに再現されているため、思わずノンフィクションなのではないか…と考え込んでしまうほど、底の方から来る熱いパワーを感じました。
音楽の使い方も、実に独特です。『声』が重要なので、音が目立ちすぎてはいけないのです。物語の起句・承句は、ドローン中心。転句でようやくメロディーが聞こえてきます。“曲”として聴こえる音楽が鳴り響いた瞬間、鳥肌が止まりませんでした。

もしも、この事件が現代社会で起こったなら。もしかすると、解決の光が見えたのかも…しれません。
SNSが発達し、誰もがすぐに写真や動画を撮れて、世界中に発信できる時代。走る防犯カメラとも言えるようなドライブレコーダー。公衆電話も街で見かけることが少なくなりました。
今、改めて映画作品に触れることで知った事件。未解決といえど、本作をきっかけに“真実”に近付ける日がくる可能性がある、何かが動くかもしれない…と思えて仕方がありません。
フィクションとノンフィクションを行き来する、素晴らしい映画に出会えました。
わたしの“おすすめポイント”
- 緻密な取材をもとに紡ぎだしたフィクション
第7回山田風太郎賞を受賞するなど、高い評価を得た塩田武士のミステリー小説「罪の声」を映像化した本作。“実際にそうだったかもしれない”と思わせるリアリティあふれる筆致で読者を惹き込むこの小説は、2016年8月に発売されるとすぐに、出版元に映像化のオファーが多数寄せられたのだそう。
その一人である那須田淳プロデューサーは、“声”をきっかけに始まる物語の「着想の凄み」に惹かれたといい、原作者である塩田氏に「まずは自分の声で映画化への思いを伝えたい」と直接熱い思いをぶつけました。この熱意が塩田氏を動かし、講談社・WOWOWと共に企画開発していくことになりました。

- 実力派俳優が多数キャスティング!
本作は、主演の小栗旬、星野源をはじめ、実力派俳優が多数キャスティングされています。短い出演シーンも事件を握る重要な鍵となり、証言者たち、家族、同僚など登場人物が次から次へとテンポよく移り変わっていきます。
幅広い年代の役者さんたちの素晴らしい演技に魅了されました。

作品データ
監督/土井裕泰
出演/小栗旬、星野源 ほか
公開/2020年10月30日(金)全国ロードショー
配給/東宝
オフィシャルサイト
(C)2020 映画「罪の声」製作委員会