監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、第92回アカデミー賞で外国語映画として史上初となる作品賞を受賞したほか、監督賞、脚本、国際長編映画賞の4部門に輝くなど世界的に注目を集めた作品。
わたしの“感想”

2020年アカデミー賞 4部門受賞の快挙を成し遂げた話題作!!
格差社会という問題点を描く上で『こういうのが見たかった』と思える作品にやっと出会えました。
日本ではあまり馴染みのない言葉“半地下”とは何なのか…。そしてその世界を経験したことがなくても、沢山の人が描いているであろう妄想やイメージがそのまま映像になったようなリアルさで、独特な透明感さえも感じる、観客の半歩先を行く新しいエンターテイメントに触れた気分。

大きなネタバレを避けたいので詳しくは語りませんが、まず前半の45分程で完全に物語に引き込まれていきます。後半の展開は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、苦笑いして眺めていてもラストに繋げるためには欠かせない要素で溢れているし、全体的にまとまりがあってテンポも良いです。
登場人物それぞれの《心の闇》が絶妙なバランスで描かれていて、特に物語の中でも重要な鍵を握る“シンプル”な奥様のキャラクター設定がたまりません。
細かな説明がなくとも、表情や仕草で人物像がわかるのも面白い。

良い意味で人間ドラマに偏りすぎていない、リアルさの中にもコメディ、ホラー、サスペンス…色々なジャンルが混ざり合っているので、いつのまにか次の展開を推理しながら見ている(=どハマりしている)作品です。
わたしの“おすすめポイント”
- ポン・ジュノ監督作品おなじみの《地下》
地下室、もしくは地下はポン・ジュノ監督作品を語る上で欠かせない場所。デビュー作「ほえる犬は噛まない」では団地の地下駐車場が出てきたり、「グエムル 漢江の怪物」は川の底や下水溝、「スノーピアサー」では列車そのものが動く地下室になっています。
本作の場合は「半地下」がキーワードとなっていますが、この韓国ならではの特異な居住空間と誰もが憧れるような豪邸を比較することで、映画的なヴィジュアルも面白さも最大級の作品に!

作品データ
監督/ポン・ジュノ
出演/ソン・ガンホ、イ・ソンギュン ほか
日本公開/2019年1月10日(金)全国ロードショー
配給/ビターズ・エンド
オフィシャルサイト
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