『ジョーカー』“Smile”をテーマに、“悪”を描く!【ネタバレ・感想・おすすめポイント】

《悪のカリスマ》はいかにして誕生したのか… 今年最大の衝撃作『ジョーカー』が遂に日本公開!

▪︎簡単なあらすじ▪︎
大都会ゴッサム・シティの片隅でピエロのメイクで仕事をしている青年アーサー(ホアキン・フェニックス)。病弱な母の「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という言葉を胸に日々努めていたが、彼もまた発作的な症状を抱え、生活もコメディアンになる夢もままならない状態だった…。
今回のレビューは、大きなネタバレを含みます。




わたしの“感想”

Maika
名曲『Smile』がこんなにも切なく、不気味に聴こえたのは初めてです。

この映画には、いくつかの“笑い”が登場します。
主人公・アーサーの苦しみから生まれる笑い、彼が大勢の一員になろうとする偽物の笑い、そして最後の最後に見せるジョーカーとしての〈真〉の笑い。

そんな『Smile』をテーマに、“悪”を描く。
バッドマン最大の宿敵とも言われているジョーカーですが、彼がスーパーヴィランとして誕生するまでの経緯は、心苦しく、胸を締め付けらるようなことばかりでした。
格差社会の中で、次々に色々なものを失い、裏切られ、負のタイミングが重なった瞬間に、遂には自分の居場所を見失ってしまった。そして、“本当の居場所”を追求するがあまり、間違った方向に進んでしまった…。
おかしいのは僕だけか、それとも世の中が狂っているのか?】この言葉が全編を通して異常なまでに響いてくるのです。
映画の世界、状況は違えど… 些細なことがきっかけで、誰もがジョーカーへと変貌する可能性を秘めているような気もします。そのようなメッセージ性も感じます。

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

ジョーカーのキャラクター設定も時代とともに変化しているし、演じている俳優さんもそれぞれ個性があって素晴らしいです。本作のホアキン・フェニックスは、不気味ながらもどこかに温かささえ感じてしまうような…名演技でした。ダンスも素敵。
「ダークナイト」に登場するヒース・レジャーのジョーカーは多くの人々に支持されていますが、とにかく怖くて、サイコパスで、でもいつまでも余韻が凄いというか…素晴らしかった!
このダークナイトの視点からいうと、バットマンとなるはずのブルース・ウェインとの“年齢差”が気になります。ブルースは本作でも登場しますが、時代設定が合わない…ような?
実は、アーサー自身はジョーカーではなく、のちにダークナイトでジョーカーとなる人間を覚醒させた人物なのかも…?
と、監督さえも真実を明らかにしていないようなので、ここは謎のままで良いのかも。

色使いや、さりげに飾られている小道具、音楽までもがお洒落。ずっしりと重たい作風なので好みは分かれると思いますが、バットマンシリーズを観たことがなくてもわかりやすいオリジナルストーリーという部分にも、好感が持てました。

わたしの“おすすめポイント”

  • 第76回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得!

“世界三大映画祭”である第76回ベネチア国際映画祭の本作上映終了後には、スタンディングオベーションが沸き起こり、それは8分間も続いたそう。DCコミックスの映画作品が金獅子賞に輝いたのは史上初のこと。まさに、時代を動かす話題作。“想像を超える体験”があなたを待っています!

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics
  • 共演者も熱い!キング・オブ・コメディ!

本作が「キング・オブ・コメディ」「タクシードライバー」の影響を受けていることは監督公認ですが、その主演を務めたロバート・デニーロの登場も胸熱ポイントです。アーサーが大好きなテレビショーの司会者、マーレイ・フランクリンに扮し、その偉大な存在感で作品に華を添えています。

作品データ

監督/トッド・フィリップス
出演/ホアキン・フェニックス ほか
日本公開/2019年10月4日(金)全国ロードショー
配給/ワーナー・ブラザース映画
オフィシャルサイト

(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics